7月 18

レイトショーで見てきた。
よかった。かなりよかった。
危うく泣くところだった。

 
映画に粘りがあった。作られてる絵にも、
父親との距離感や少年の吐く毒といったキャラクターの存在感にも。
そういった意味でリアル。リアルな人と人との距離というか。

映画終わったあとにも残るものがある。地続き感がある。
あの世界が現実にあるとか小さな生き物を大切にしようといった
陳腐で具体的な地続き感というのではなく、もっと根源的な、
“生けるものが持ち発する存在感”みたいなものに地続き感を感じる。

 
新人監督ってことで宮崎監督の影響というか
学んだものを消化しましたYO感が随所に出てるんだけど
その監督らしい作家性もちゃんと出てたように思う。

最初のバッタとの疾走シーンで何かすでに来るものがあった。
バッタは影の主役かな。メインのキャラクターたちが作りだしてる世界と
至って近い別の世界が背後にあるよ、ってことを不意の幾度かの登場で伝達していた。
たぶん、無意識的にこれも映画からはみ出る地続き感を作ってるように思う。

ストーリーというかキャラクター動機面では、途中までちょっと
斜め上展開するんだけど、それもちゃんと終わり辺りで回収される。
ケルト音楽も最初のほうだけ唐突だなと感じたけど段々気にならなくなる。
気にしてた音楽負けはぜんぜんなかったな。
絵の粘りがちゃんと全体支えていた。

 
近年見てきたアニメ映画では1番かな自分の中で。
最後、そう来るのが分かってるのに、かつてのジブリ作品の
舞台設定の引用と明らかに分かるのに、そういった理性の分析を凌駕した
先に実ってるものがあるのを観るのはいいね。いい映画でした。

 
 
 
 
以下、上の補完。
汗まみれ宛に感想送った転載。
ネタバレ含むので注意。
かいつまみ転載なので尻切れです。
 

“借りぐらしのアリエッティを公開初日に見てきました。新人の方が監督ということですが大変よかったです。アリエッティと父親との距離感、少年の吐く毒、不意に何度か登場した影の主役たるバッタ等に生命感を感じました。と書くと大変軽い感じですが、もっと重たい、生けるものが持ち発する”存在感”みたいなものを感じました。そこがファンタジーながらある意味リアルでした。このキャラクター同士の距離感が、現実との地続きにあるようにこの映画を感じました。

宮崎監督のこれまでの作品ではどちらかというと人間の業が物語の歯車となり、その衝突が前面でドラマティックに働き背後にあった生命感・目に見えない命の存在感みたいなものを感じるのが難しかったんですが、アリエッティではそれがダイレクトに描かれているような気がしました。
それは、絶望に暮れ死にゆく過程にあった少年と、同じ死にゆく種族である小人がその運命に抗い命に責任を持つというテーマ性がもたらしたものが大きいかもしれませんが、それをちゃんと支える絵の世界・アニメーションの世界があったように思います。

宮崎さんは、自分が飛び上がりたい自由に動きまわりたい人に感じますが、米林さんはその地その場所で定点的にものを眺める視点を持っているように思います。父親の背中を眺めるアリエッティ、庭に横たわる少年を見る視点。このキャラクター同士の独特の距離感や、離れて外からどこか”中心”を眺めてるようなカメラの位置は米林監督の距離感だと思いました。

脚本が宮崎さんとのことで、これらの構造なりをどこまでが宮崎さんの手でどこからが米林監督の作り上げたものかわかりませんが…。下手したら宮崎監督じゃ同じニュアンスは表現出来なかったんではと思うほどです。動が作るドラマになりすぎてしまって。アリエッティでは静のドラマを感じました。”

 
 
 
2010.08.10 追記
昨夜の伊集院ラジオ聴いてたらアリエッティ話してて
またいろいろ思ってつぶやいてしまったので折角なので転載・追記
 

伊集院さんはアリエッティダメだったんだな。全部おまえの責任じゃんという感想。まったくその通りだけど最後謝るシーンあったことで、強がりで振舞ってたんだなと自分は考えたけど。あとは、借り暮らしじゃなくてあれはバンデッツだよねあきらかに、ってことくらいか気になった点しいて言えば。

あの不安定な何の根拠も持たない子供らしい抵抗も心地よかったな。大人になると大抵見て見ない振りしてなかったことにするか、仕方ないこととして自分の中に落とし込もうとするし。

少年の吐く毒=呪詛とアリエッティの吐く希望の祝詞はまるで鏡のように両者を結びつけてた。その流れであのラスト。そりゃ目からミネラル水も垂れそうになるさ原作ナウシカ以来の生命の抗いと責任という裏テーマをもってのあの終わりのない旅のように続いて行くラストはもう最高としか言い用がない。

宮崎さんのニヒリズムに落ち込んだところから見上げて見つめようとする希望っていうのが、すんごいストレートに出てた。脚本は宮崎さんだし。すごい自己葛藤なんだろうな。自己葛藤の薄い人には作家性出すことはやっぱり無理だ。薄くなる。弟子の庵野監督も同じもの身につけてたんだろうな、きっと。

とあるパーティーで宮崎さんがスタッフの女性につっかかられて「人間が滅んでいいというのはおかしいと思います!」に対して「人間なんて滅んだって別にいいんだ!他の生命が生き残っていれば!」って宮崎さんが怒鳴ったの聞いたとき、この人はすげーと思った、というのは外野にその時いた庵野監督の談

アリエッティたぶんみたであろう庵野監督をまたジブリ汗まみれに呼んでほしいなぁ。濃い話聴きたい。

 
※最後2つはあまり関係ないけどついで・・・

One Response to “借りぐらしのアリエッティ感想”

  1. 宮崎駿監督「風立ちぬ」 試写会 | Thousand Leaves Project Says:

    […] ※他、近年ジブリ作品のアリエッティの感想などはこちら ||| 2013年7月11日 木曜日 23:08 ||| […]