5月 04

カンディードを図書館で借りて来たので読んでいた。

 
メインのカンディードの前に短編がいくつかあり
その内「ミクロメガス」と「この世は成り行き任せ」を読んだ。

人の愚かさも多様性の一部として
認めようとする視点が,無理なく描かれていた。
しかも,実に分かり易くシンプルな寓話形式で。
昔の本て大概読み難いのに,これは読み易い。
良い本だな,これ。

 
 
感想ポスト分断したくないので、読点か全角カンマの話は削除。
上の続きで、3つ目の短編「ザンディードまたは運命」を読んだ。
普通に面白い。訳がいいのか、サクサク読める。

あらすじは、主人公が出来すぎ君なあまりに、
周りの出世欲や名誉を欲する人間に敵視され、妬まれ、嵌められ
その功徳で名誉ある立場を得たときには、すでに裏で陰謀が行われ
結果得たものを失ってしまう、という展開が繰り返される話。
しかし、最後の最後にはバビロンの王に上り詰めてハッピーエンド。

語られてたキーは、運命。
後半、天使が隠者に姿を変えて、この主人公に運命の決定論を説く。
そして、天の導きを疑うことなかれと悟して去るが、その時までは
主人公は半ば天使の思想強制に疑問を持っていた。
しかし、運命で割かれていた元王妃と結婚し、王となり幸せになった
暁には、結局は天を祝福しておしまい。つまり、不運として呪ってた
運命が好転したので、天使に言われた通り状況を受け入れてしまった。

 
ここらへんにヴォルテールとやらの哲学理論があるんだろうな。
「この世は成り行き任せ」では、同じように天使が神の秩序の象徴として
出てきたけど、そこでの主役(人間)は、天使に人の不完全さを認めてほしい
といい天使はそれを受け入れていた。つまり人間の負の部分を認めることが焦点。
これは言ってみれば、完全なる善だけを求める思想なぞ戯言、という神の否定だ。
たびたび、それは神学批判や祭司批判などの描写でもわかる。

それがザンディードでは、上で書いたように天を祝福することで
神寄り的な、決定論的な運命を持ち上げる形で終わってしまっていた。
読み物としての物語的には、実にハッピーエンドで良識が勝った!
勧善懲悪!みたいになってるけど、まんま受け入れていいか疑問だ。

これは人間の都合のいい運命解釈を皮肉ってる可能性もある。
つまり、不幸なら運命を呪うし、幸福なら思考停止で運命と天を祝福する都合の良さ。
同時に、それが人の不完全さであり多様性であると言いたいのかもしれない。
人は一部を見て全体をあたかも捉えられたように勘違いする節がある、と
釘を指すような言葉も途中に出てくるし。

 
あと残り3編あって「カンディード」が最後だ。
全6編、作者の考え方の変遷がわかるように収録してるらしいので
たぶんこっからいろいろ変わっていくんだろう。




2月 16

そろそろ確定申告出さないと。3月は忙しそうだし。
もう去年の会計処理は終わってるのであとは
プリントアウトやら書き込みするだけ。
今週中にはやってしまおう。

 
 
そして、今日は買ってひさしく積んでいたSF本を読んだ。
ブルース・スターリングの「巣」。(※以下ネタバレ含みます)

 
人間進化の2つの形として、育種党(遺伝子工学人間)と
工学党(機械工学人間=サイボーグ)の相変わらずの
派閥勢力争いにおいて育種党側の話が主体。
育種党は、遺伝子改造されたデザイナーズチャイルド。
遺伝子操作により生まれながら宇宙生活における
ある程度の耐性を見つけている(放射線に強い?)人間たちの集まり。

そして、その育種党の背後には、
人間の好奇心と探求心に投資するインヴェスター(投資者)
という異星人がいて、新たな利益を上げる先を探していた。

 
そのとき、ある惑星調査において閉じた永久機関ともいうべき
生態系を作った異星人たちがいて、その行動形態を利用できれば、
工学党に遅れをとっている鉱山採掘の収益を大幅に増進できると
育種党の科学者であり軍人がインヴェスターたちの投資資金を
元に、本格調査にその惑星に乗り込む。

その惑星の異星人は、まぁ簡単にいえば蟻とか虫のような生態系であり
エイリアンなんだけど、女王がいて働き手がいて守り手がいて
食料作るのがいて一切の無駄がなく、食べ物や死骸は再利用されて
外部からのエネルギー調達などが必要ない閉じた完璧な生態系を育んでいる。
しかし、そこに知性は一切垣間見えず、女王さえもひたすら卵を産んでは
それぞれの生態系の歯車となる虫たちを送り出し、ただ生きているだけだった。

そして、そこに乗り込んだ主人公と、予め事前調査で
送り込まれていた女科学者はそれらの虫の行動がフェロモンによって
制動されていることを突き止めていて、今回の本格調査では
サンプルから独自に合成したフェロモンの試験という趣だった。
これが成功すれば、鉱山採掘の奴隷機械として利用できることになり
出資者であるインヴェスターたちも自分たちも莫大な収益を上げられる。

実験も上手くいきフェロモンにより、敵対生物の排除行動や
食物供給、集合、掘削などの一連のコントロールができるようになって
男と女はその生態系の中で、虫に異物として排除されないよう
安全な生活空間をフェロモンハッキングして作るまでになっていた。

しかし、その頃、これまでとは違う、見たことのない新しい虫が
生まれていたことに女科学者のほうが気づき好奇心から調査へ出る。
主人公の男は、また別の惑星から迷い込んできた
新しい寄生種だろうといって放置していた。
この惑星では、外からの寄生種も迎え入れ
その生態系に組み込まれていることがままあった。

何日しても女が戻らず、おかしいと思った男はハッキングした
虫たちに女のところまで案内させる。暗い坑道を抜けていざその場所へ
付いてみると、全体が脳みそのような形をした虫が触手で女の頭を貫いて
男の訪問を待ちわびていた。

その虫が女の唇を操り男に告げるには、スウォームという名で
自らが知生体であるという。男はその状態に圧倒されながらも、
知生体が存在しない生態系において、最初におまえに話を通せればよかったと語る。
女のことは尊い犠牲であり今回の調査で自分の授かる利益のほうが女より大事だった。

スウォームはさらにいう。
偽造されたフェロモンによる、生態系への影響が
起こったことを女王が感知し、私を産み落とした。
卵の周りに残されたこれまでの状況の経緯を示す情報を読み解き
誕生6日目にはこの状態になっていたという。
そして、自分が何をすべきかを理解した、と。
今後、私のような存在が産み落とされないとよいですが、と。

男はそれでも何とかスウォームと話をして生態系の根幹となる
遺伝情報を得られないかと折衝してみるがスウォームはいう。
それは確かにいいアイデアだ、私たちがすでに実行してきたことだから、と。

あなたたち人間は好奇心や知性というものを絶対視しすぎている。
知は力、ある一定のところまでそうでしょう。
しかし生命と知性は互いに折り合いの悪いものです。
いずれあなたたちも1000年もしない内に自らの
そのどこまでも拡大する好奇心が無限に満たされると思って
自ら滅びへの道へと辿るでしょう。
あなたたちが生まれる以前にも、銀河を席巻した存在が
同様に私たちから略奪しようとしました。
そのとき私たちは、略奪者の同族を産みだし強力な遺伝子改造した
身体を提供し互いに滅ぼしあっていただきました、と。

男は狩るものから狩られるものに立場が逆転していることを知る。
スウォームを敵と認知し、人間はこれまでの生物たちとは違うと主張する。
スウォームも一定の理解を示し人類種の知の進化は目を見張るものがあったと。
しかし、その知性はともかくその脆い身体では宇宙を生きていけないだろう、と。
私たちの生態系に入りませんか?とスウォームからのオファー。
私たちは、協力してくれるものに不死性を与えることを惜しみません、と。

男は当然それには迎合せず、おまえらと争ってやると挑戦状をたたきつける。
スウォームはいう。いいでしょう、1000年の後生き残っているあなたたちの種は
この女1人だけになることでしょう ───

 
 
そんな感じの話。
細かいところちょっと間違いがあるかもしれないけど。
こっちは蝉の女王より分かりやすかったな。

知が生命進化と衝突する要素である、というのはたまーに
聞くテーマだったりするけどそれがこんな短編でよく表現されているというか。
知を道具と割り切って、必要なときだけ振りかざすという
この生態系の先進性は新しい見地だったな。
押井守のイノセンスでも人間のように意志する生物より、
意志しない動物のほうが無垢であるみたいなテーマがあったけど。

この手のエイリアン的な宇宙人ってちょっと嘘くさすぎて
SFとしてほとんど読まない嫌いなジャンルだったけど、ちょっと考え方が変った。
もしかして、マトリックスやマクロスFのエイリアンとかも、
この作品踏まえてたつもりなのかすら。
SFでも、こういう哲学性提示してくれるSFが好きだなやっぱり。




6月 21

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ゴシック文学の最後を飾る作品らしいです。
そこらへんよくわからないけど
粗筋を読んだときかなりおもしろかった。
ゴシックロマンスのプロットは古カビ臭い匂い
するものだらけだった中、唯一、目新しい
感じを受けたというか。全約1000ページ。

メルモスという悪魔が、生命や名誉のためには
魂を売ってもいいくらい絶望に直面している者の前に、
時や空間を選ばず立ち現れて救ってやろうと、契約を結ばせようとする。
その契約が締結して、背負う苦しみを他者に
預けられて初めてメルモスは解放される。
その、ヨーロッパ各地に現れた
悪魔メルモスとの遭遇譚。

ゴシック文学って18-19世紀の
ゴシックリバイバルが初出なんだな。
あくまで懐古主義、過去の中世世界を
イメージの源泉として利用した幻想文学。
12-15世紀の実際のゴシック建築
成立期の文学ではないわけだ。
まぁ、ゴシックという言葉の元に
どういう思想や世相反映があったのか
わかればいいのでどっちでもいいんだけど。




6月 08

だけを読んだ。
『巣』と『スパイダー・ローズ』はまだ。
細かい部分がよく分からんが
言いたいことは、流れのままに、
ということだろうか?
各々の派閥の思想や意思など人の個別の
意思に大きな意味などなく、世界の進化の
行動のために使い捨てられては
新たに必要なものが生まれ、
物事は進んでいくみたいな。